私が治療家に復帰した理由
治療院を辞めてフリーターになった時、
そういえば専門学校生時代から下働きばかりで、
旅行や趣味や遊びなど一切してこなかったなと思い出し、
やるならとことん面白そうなことをやろうと地球一周の旅に出ました。
初めての海外で地球一周を考えるテンション。
色々追い込まれていたんだなと今になって思います。
普通だったらやってなかったと思いますから(^_^;)
ですが地球一周の日々は私にとってかけがえのないものになりました。
ほぼ親戚レベルの付き合いが出来る一生の仲間ができたことや、
見渡す限りの海の青さ、夜空を埋め尽くす星の多さ、各国々の景色の素晴らしさ、
文化の違いの面白さ、あげればキリがありません。
中でも中南米のキューバという国に行ったこと。
これが私の治療家人生の大きな節目になりました。
キューバでは医療機関と医大を見学させて頂きました。
私も知らなかったのですが医療国家として有名で、
経済制裁を受け物資が無く、限られたものしか使えない状況の中、
先進国と変わらない医療水準を実現できているということが、
一体どういうことなのか非常に興味を抱いたからです。
そこで見たものは当時の私に大きな衝撃を与えてくれました。
キューバでは人口1000人当たりの医師数が日本の3倍と言われています。
中でもファミリードクターと呼ばれる、
地域住民数百人に1人ドクターが担当し、地域医療を担っています。
このドクターが住民1人1人の健康状態を、住居環境、生活動作、食事習慣、精神状態、隣人とのトラブルでのストレス(!)など本当に事細かくデータを把握した上で、
適切な処置や不調を出さない為のアドバイスを行っています。
診療所には最低限の薬と聴診器・血圧計しかないため、
対応できない症状の場合はより上位の病院へと紹介状を書きます。
上位の病院で難しい場合はより上の病院へと、これは日本も同じですね。
医療費が無料ということに目を引かれますが、
なによりファミリードクターのプライマリ・ケアが素晴らしいと感じました。
何か気になる時はすぐに昔から知っているドクターが対応できる環境。
体調の変化から日頃の悩みまで聞いてくれる存在は非常に大きいはずです。
フィジカルからメンタルまでのフォローの充実、
病気にさせないように最大限できることは行い、
(物資がない影響もあり、東洋医学、鍼やマッサージも積極的に取り入れている)
なったとしても最小限に抑える、という取り組みは正しく予防であり、
医療ではないかと感銘を受けました。
私はドクター達の話を聞き、
自分がいかに患者さんに何も出来ていなかったこと、
出来たはずのことがずっとたくさんあったこと、
プロフェッショナルになりきれていなかったこと、
自分が患者さんを治すんだと勘違いをしていたことに気づかされました。
キューバと同じことは出来なくても、
きっと何か自分にも出来ることはあるはずだと思い立ち、
帰国後にまた治療業界に戻ることを決意しました。
※プライマリ・ケア
患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービス。
0コメント